この記事の概要
永遠の0ガダルカナル(1)では、ガダルカナル島は、太平洋戦争の縮図だった。大本営と日本軍の最も愚かな部分がこの島での戦いにすべて現れていた。日本という国の最もダメな部分が出た戦場だった。
1. 命の大切さを知る
井崎は長い時間、話を続けていたため、体に痛みが出てきた。看護師を呼んで痛み止めの注射をしてもらった。
この辺でお暇しますと慶子が鈴子に言ったが、「待ちなさい!」と大きな声で井崎が引き留めた。
「まだ話さないといけないことがある」
勤務時間を終えた看護師が一緒にいてくれることになった。
ラバウルにいた頃は、そこにいた誠一(孫)と同じ年(19歳)だった。今の若者と戦争中の若者を比較すると、精神年齢の差が大きく感じる。
「井崎さんと祖父は固い絆で結ばれていたのですね」と慶子が言った。井崎は「生きながらえられたのは、宮部小隊長のおかげだった」と何度も告げた。
ラバウルに来たときは、死ぬことを全く恐れてはいなかった井崎だったが、その後、生き残ることで死ぬことの怖さを知った。19歳の若者に命の尊さが分かるはずがない。
2. 太平洋戦争の分水嶺
本当の地獄は、ガダルカナルの兵隊さんたちだった。今の若い人は知らないでしょう。日本人ならこの悲劇を忘れてほしくはない。
ガタルカナル島を巡る陸軍の戦いを知らないと、ラバウル航空隊が、命を削って戦ったのは何故なのかは、理解できないのだ。
ガダルカナル島は、太平洋戦争の縮図だった。大本営と日本軍の最も愚かな部分がこの島での戦いにすべて現れていた。日本という国の最もダメな部分が出た戦場だった。
ガダルカナルは、すべての日本人に知ってもらいたい。半年に渡ってここで戦いとなったのが太平洋戦争の分水嶺となった。8月7日にアメリカ軍がガダルカナル島を攻撃したとき、大本営は局地的な戦闘と思っていた。
大本営は、ガダルカナル島奪還のために兵を送った。これが悲劇の始まりだった。大本営は、敵上偵察をきちんとせず、アメリカ軍の戦力を2千人と見た。それに対して大本営はわずか900人の兵を送っただけだった。
その半分の兵力で島と飛行場を奪還できるという安易な考えだった。帝国陸軍は、それほど強いと思っていたのだろうか。アメリカ軍海兵隊の兵士は、1万3千人いたのだった。突撃前夜、陸軍は勝ち戦の気分だったとのことだった。
指揮官の一木大佐も強気な人だった。ガダルカナルのみならず対岸のツラギ島も攻めてもいいかと司令官に聞いたと言われている。
3. アメリカ海兵隊との初めての激突
これが日本軍とアメリカ海兵隊との初めての戦いだった。当時の帝国軍は、アメリカ軍は、腰抜けの弱虫だと思っていた。やつらは、家庭が大事で命を捨てるようなことはしない国民だと思っていた。
帝国軍人のように捕虜になるくらいなら、自決する勇気なんかないやつらだと思っていた。だから戦って負けるわけがないと。敵兵の半分でいいという考えは、このような先入観があったのだろう。実に甘い見積もりだ。
一木支隊は夜襲であっという間に全滅してしまった。アメリカ軍の火力の前に、日本軍の肉弾突撃、すなわち銃剣突撃は歯が立たなかった。捨て身で敵陣に乗り込み、敵兵を刺し殺すという戦い方だった。
対するアメリカ軍は、銃砲と重機関銃だった。日本軍は、砲弾を雨あられと打ち込まれた。突撃してくる日本兵に機関銃を打ち込んできた。こんな戦いで勝てるわけがない。
4. 場当たり的な作戦を立てる大本営
なぜこんな愚かな作戦が実行されたのか。作戦本部は何を考えていたのか。一木支隊の全滅の報告を受け、大本営は5千人送ることにした。それに対して、アメリカ軍は守備隊を1万8千人に増強していた。
大本営の参謀たちは、全く場当たりの作戦を立てていた。千人でダメなら5千人なら行けるだろうという安易な発想だった。兵力の逐次投入は、最も避けなければならない戦い方だった。
大本営のエリート参謀たちは、このような「いろは」も知らなかったようだ。経験がない士官たち、頭でっかちな連中、いつの時代にもいる。当時お偉かった人々は、後世の人々から何と愚かな人々だったのかと蔑まされてしまうのだろう。
敵を知らずに戦おうというのだから話にならない。
5. 多くの戦死者のほとんどは餓死だった
戦いの結果、飢餓が襲ってきた。ガ島とは餓える島とも言われた。その後逐次投入が繰り返され、多くの兵が飢餓で亡くなっていった。3万人の兵士を投入し、2万人の兵士をこの島で失った。
ガダルカナルだけではなく、他にも多くの戦場で、何万人という将兵たちが飢えで死んでいった。
なぜ餓えるか?軍が食料を用意しないからだ。作戦日数の食料だけを用意し、その後は、奪った敵陣から食料を奪えばいいという考えだった。食料がない兵士たちを背水の陣に追い込み、死に物狂いで戦わせようとしたのだろうか。
兵站(軍需品、食料、馬など)は戦いの基本だ。戦国時代の武将たちが最も重要視したのが兵站(へいたん)だった。
大本営の参謀たちは、兵站について考えられなかった。陸軍大学を優秀な成績で卒業した超エリートだった。陸代のトップクラスは、東大のトップクラスに引けを取らなかった。
このような人々は、弁は立つが、経験がない分現場を知らない。現場の苦しみが分からないから兵を人間とみなさないのだろう。
朝鮮出兵の時もほとんどが餓死だった。戦いではなく、餓死者がほとんどだと歴史は教えている。
孤立した3万人を見殺しにできなかったので、海軍は武器弾薬を輸送した。足の遅い輸送船は、アメリカ軍の飛行機に沈められていった。
6. 大きな悔い
ラバウルに控えていた日本海軍、三川司令官率いる第八艦隊がアメリカ軍の巡洋艦部隊を打ち破った。夜戦による奇襲が成功した。巡洋艦艦長の早川艦長は、敵輸送船団を撃破することを具申した。三川長官はそれを退けた。
三川長官は、航空攻撃を恐れたのだった。護衛戦闘機のない艦隊はアメリカ航空機の攻撃によって、滅ぼされてしまうと思った。
支援しに来ていたアメリカの空母は、ガダルカナル島を遠く離れていた。日本軍の戦闘機によってアメリカ軍は相当ダメージを受けていたため、空母は東に避退していたのだった。ラバウル航空隊の決死の戦いが米空母を追いやっていたのだ。
三川艦隊はこの勝機を逃してしまっていた。日本は、工業が乏しいため船を大事にしてくれとも言われていた。兵隊や搭乗員の命より高価な軍艦の方が大事だったのだ。
金鵄勲章の査定ポイントは、軍艦を沈めることだった。戦艦を最高点、巡洋艦、駆逐艦と続いた。輸送船などは何隻沈めても点数にならなかった。三川艦隊の撤退は、ガダルカナルの戦いで大きな悔いを残した。
まとめ
命の尊さを知る
太平洋戦争の分水嶺となったガダルカナルの戦い
大本営の場当たり的な作戦の立て方
いつの時代も戦死者のほとんどは、餓死だった
紹介

作品紹介
546万部突破の歴史的ベストセラー作品、百田尚樹著『永遠の0(ゼロ)』がオーディオブックで登場!
司法浪人生である佐伯健太郎が、フリーライターである姉・佐伯慶子と共に
太平洋戦争の際に特攻で戦死した祖父・宮部久蔵の人生を解き明かしていく、壮大な愛の物語。
オーディオブックでは、人気声優の江口拓也、櫻井孝宏、豊口めぐみ、そして女優の小芝風花ら豪華出演者により
ストーリーを忠実に表現し、音のみの世界によって想像力をより掻き立てます。
映画、テレビドラマ、漫画でも親しまれる人気作を、より原作に忠実に制作したオーディオブックでじっくりとお楽しみください。
【あらすじ】
物語の主人公・佐伯健太郎は、祖母の葬儀の日に実の祖父・宮部久蔵の存在を知らされる。
零戦パイロットとして天才的な操縦技術を持ちながら、生きることに執着し、
仲間から「臆病者」と蔑まれた宮部の実像を調べようと、健太郎は彼を知る人たちを訪ね歩く。
「家族の元に帰る」ことを妻・松乃と娘に誓った宮部がなぜ特攻を志願したのか、
その謎が健太郎の手により解き明かされていく。
![]()